ブランドとリサイクル

ブランドとリサイクル

ブランドとリサイクル

京都学園の同僚だった辻幸恵先生から新著を頂戴した。「ブランド品」と「リサイクル品」は対極の概念だと思っていたが、それを一緒に議論してしまうところが面白い。

本書でもっとも重要な概念は「リサイクルブランド」であろう。これは「その物が誰かが使用した後に再び使用されるモノ、古くなっても価値のあるモノ(p.21)」として定義できるという。たとえば、鶴のマークが入った日本航空のショルダー・バッグなんていうものが、それであるという。小学生のころ、このバックを持っている友だちがいて、とれもうらやましかったのを思い出した。このバックを持っているということは、飛行機に乗ったということを意味し、これがある種のステータスになっていた。

こうした品物も今となっては、プレミア付の「お宝」というわけだ。こうした「お宝」グッズを論じた第6章は単なるマニアの薀蓄ではなく、ある種の経済史的分析と読むこともできよう。本書ではまた、リサイクルブランドに対する若者の考え方なども議論されており、興味深い知見がいくつもあった(第7章)。