高木惣吉と終戦工作

かくて、太平洋戦争は終わった―亡国の危機から日本を救った男たち (PHP文庫)

井上成美の伝記などで名前を聞いていた高木惣吉という人物であるが、詳しいことは何も知らなかった。筆者は、高木惣吉の従兄であり、『高木惣吉・日記と情報』（みすず書房）の刊行にも力を尽くした方である。本書は熊本のローカル情報誌にもともと連載され、地元で刊行されたものであり、その本が阿川弘之氏の目に留まって、今回一般に読めるようになった。

太平洋戦争終結時に陸軍本土決戦派がいかに強い抵抗を示したか。その抵抗を命がけで打ち破った少数の人たちの努力は、永遠に語り継がれるべきものである。この本を読みながら、もしその抵抗＝終戦工作が失敗に終わったら日本はどうなっていたかと想像し、戦慄を覚えざるを得なかった。