歴史を学ぶということ

歴史を学ぶということ

歴史を学ぶということ

久しぶり、深い感銘を受ける本と出会った。入江昭氏は、いうまでもなく米国歴史学会会長を日本人として初めて勤めた世界的外交史家。本書の第1部は本書は氏の生い立ちから留学、そして米国で教職を得、ハーバード大学現役引退を迎えるまでの軌跡を述べた自叙伝ともいうべきもの。留学先での苦労や、それを暖かく指導した人びとを描いた部分は読む者に勇気を与えてくれる。

本書はこれから歴史や社会科学を学ぼうという学生、特に大学院や留学を目指す人に読んでほしい。いかに勉強するのか、いかに研究するのかというヒントがいくつも見つかることと思う。また、巻末につけられた古典文献のガイドも秀逸である。

ところで、入江氏は引退しても肩書はハーバード大学教授であり、大学院生が卒業するまで指導を続けるのだという。日本のような定年がない米国の大学システムを理解する上でも有益な本だろう。