共同研究

ゼミの件で、nagae先生に言及いただき、「研究室のカオス」http://yongchang.cocolog-nifty.com/caos/2005/11/post_cc61.html経由のアクセスが増加中。

さて、私も最初からこういうゼミをやっていたわけではなく、10年前に大学教師になったときにはテキスト購読・史料購読など、自分が学生時代に経験したオーソドックスなゼミスタイルを踏襲していたのを思い出す。ところが、やってみると、いくつかの問題が浮上した。

①インターネットの普及で、ネット経由の情報で事足りるという風潮になっていた(1996年のころの話)。もっとも、便利なものをわざわざ使うなという指導にも無理がありそうだ(自分でも大いに活用しているのに)。
②卒業単位を減らした結果、最後の学期にゼミの単位を取らなくても卒業できる学生が増加し、最終学期に脱落者が続出した。聞くとすでに、企業からたくさんの宿題を出されており、卒論を書く時間がないという返事が返ってきて愕然・・・。

そういう悩みを抱えていた時に出会った本が、1999年に出版された同志社大学西村ゼミナールの『京の庶民史』である。

京の庶民史―伝統と技に学ぶフィールドワーク

京の庶民史―伝統と技に学ぶフィールドワーク

フィールドワークにもとづく共同研究は、①、②の問題を一挙に解決できる魔法の杖ではないかと直感した。2002年に関西大へ転任後、私のゼミは西村ゼミのやり方をほぼ踏襲したものになったが、最終学期にも脱落者が出ず、ネット頼みでないという点に関しては、それなりの成果が出たように思う。

西村先生によると、このやり方にヒントを得たゼミとして、滋賀県立大学高谷ゼミの取り組みがあるという。この成果も昨年、出版されたようで、読んでみたいと思っている本である。

地域学の構築―大学改革の基礎

地域学の構築―大学改革の基礎

ということで、このやり方は私のオリジナルではなく、関西の方ではすでにいくつものゼミで取り入られている方法ということを、付け加えておきたい。