脱デフレの歴史分析―「政策レジーム」転換でたどる近代日本

脱デフレの歴史分析―「政策レジーム」転換でたどる近代日本

脱デフレの歴史分析―「政策レジーム」転換でたどる近代日本

『デフレは終わるのか』において鋭い歴史分析をされた安達誠司氏の近著を先週末、読了。今回はターゲットを明治期から戦前期までに絞り、「政策レジーム間の競争」という観点で分析されている。

松方財政への過大評価がその後の政策に大きな影響を与えた、という主張は説得的である。松方が新井白石を信奉していたという点も面白く、清算主義という考え方が歴史的に一続きであることがよくわかった。また、後段では高橋財政がなぜ、挫折するのかという点を「擬似小日本主義」という概念でとらえた点もわかりやすかった。

「日本経済史」を教えている立場からすると、そろそろ教科書の大幅書き換えが必要であるという思いを強くしたというのが感想。一読を薦めたい。