百姓から見た戦国大名
- 作者: 黒田基樹
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 新書
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- 戦国時代は「飢饉と戦争の時代」であった。それ自体、特に不思議ではないが、戦争は武士の世界だけのものではなく、村は常に略奪の対象となっていたこと、また村そのものが、暴力行為の主体となるものだったことが興味深い。
- 江戸時代は「国家」とは藩をさす言葉だったが、こうした概念は戦国時代の産物。それ以前、国家とは日本全体をさしていた。またそれと同時に「御国」(武士、庶民両方を含む)という概念も生まれた。
- 租税制度に関して、織田信長・豊臣秀吉の先進性を強調することが多いが、実は織田・豊臣に関する一次史料は非常に少ない。戦国大名で地方支配の詳細がわかるのは北条氏のみ。それによれば決して織田・豊臣が傑出していたわけではないことがわかるという(p.141)。
- 選銭により「精銭」が調達困難になったことが、年貢の現物納を認める結果となり、結果として石高制につながった。このことはあまり今まで強調されていなかったが、石高制を説明する上では決定的に重要だろう(p.168-169)。
近世経済の始まりを語るには、戦国時代とのつながりが極めて重要ということがわかった。