早稲田はいかに人を育てるか

早稲田はいかに人を育てるか 「5万人の個性」に火をつけろ (PHP新書)

早稲田はいかに人を育てるか 「5万人の個性」に火をつけろ (PHP新書)

早稲田大学の白井総長が早稲田の教育改革について書いた本。大学関係者はもちろんのこと、新書版という読みやすさから一般にも関心を呼びそうな本である。帯カバーには、「勉強する大学へ、英語が飛び交うWASEDAの実力」とあり、本書のメッセージが一言で表されている。

教育改革の柱は2つ。チュートリアル・イングリッシュとテーマカレッジだ。前者は学生4人にひとりのネイティブスピーカーがつき、徹底的に使える英語を学ばせるというもの。英会話の授業はどこにでもあるが、この4対1というのがポイントで、ここまで徹底した大学は他に聞かない。

もう1つのテーマカレッジは、学部横断の授業。しかし、いわゆる大教室の授業ばかりではなく、ゼミのサイズでディベートを取り入れる授業がたくさん用意されているという点がユニークだ。

興味を引いたのは、いわゆる偏差値の低い学部の学生が高い学部の学生に対して対抗心を持つという効果があるという点。学生が興味を持ちそうなテーマをタイムリーに選ぶという仕掛けもこのディベート授業を効果的なものにしている。