天皇の日本史

天皇の日本史 (平凡社新書)

天皇の日本史 (平凡社新書)

本書は、帯に「天皇はなぜ、その地位を保ち続けたか?日本史最大の謎に挑む」とあるが、天皇制を軸に日本史を古代から近世まで論じたものである。

それで思い出したのは、アメリカの大学で日本史の授業を聴講したとき、クラスにおける最初のは、「日本にはいくつ王朝があったか?」であった。正解は1つ、つまり真偽は別として「万世一系」という概念(神話)を理解することがその出発点となっていた。

一読して感じたのは、天皇制は歴史とともに少しずつ性格を変えた、意外なほど柔軟なシステムであったこと。そのことが、天皇が地位を保ち続ける最大の理由ではないか、ということである。

中世鎌倉時代の武士が必ずしも幕府に服従していたわけではないといった新しい事実などの紹介もあり、日本史を通して復習するにも便利な一書であった。