滝山コミューン一九七四

滝山コミューン一九七四

滝山コミューン一九七四

いろいろなところで話題になっている本だが、池袋の書店で見つけ、帰りの新幹線から読み始め夜までに読了。1970年代、東京郊外の小学校で自ら体験した(社会主義型)コミューンともいうべき教育のあり方について克明に検証する。書評の中には、同じような経験をしたというものもあるようで、決してこの学校だけの話ではなかったのだろう。

ところで最後まで読んで、著者とはかすかな接点があることに気づいた。原氏が四谷大塚に通い慶應義塾普通部に入学した前年、私はその上の慶應義塾高校に入学している。日吉に通っている期間が4年ほど重なることになる。

「慶応の校風には、七小とは異なり、一人ひとりの個性を徹底して尊ぶ魅力もあったが、そのブルジョア的な雰囲気になじむことはついにできなかった(p.272)」という個所を読むと、やはり同じ気持ちを経験したかすかな意識が記憶の彼方からよみがえる気がして、原氏の経験と自分がわずかに重なりを見せた(原氏はその後、早大、東大院へと進学)。