「信用偏差値」あなたを格付けする

「信用偏差値」あなたを格付けする (文春新書)

「信用偏差値」あなたを格付けする (文春新書)

クレジットカードと電子マネーに関する本かと思って買ったが、近未来の経済を描いたもっとスケールの大きな話の本である。

アメリカにいる時、「クレジットスコア」とか「クレジットヒストリー」ということばをよく聞いた。これがないとデパートなどのカードが作れないのだが、近い将来、日本でも導入される見込みらしい。

実はこの「クレジットスコア」こそ、「サブプライムローン」を生み出した張本人だという。米国では長い時間をかけて「クレジットスコア」(「信用偏差値」はうまい訳語である!)という仕組みが作られ、これが社会の共通基盤として機能している。単にローンの審査で使われるだけでなく、就職などあらゆる場面で個人を格付けする手段として使われているということに驚かされる。

著者は、このアメリカ式「クレジットスコア」をそのまま導入すると、新たな格差社会が生まれるとして、警鐘を鳴らすと同時に、新しいクレジット社会における消費者教育の重要性を説く。一読を薦めたい本だ。