物価迷走―インフレーションとは何か (角川oneテーマ21)

物価迷走  ――インフレーションとは何か (角川oneテーマ21)

物価迷走 ――インフレーションとは何か (角川oneテーマ21)

原田先生はデフレに関する本(デフレはなぜ怖いのか・文春新書)があり、それと対になる本だろう。

インフレーションは一般に物価の上昇のことだが、中国語では「通貨膨張」と訳されているという(p.4)。本書のポイントは金融政策が物価の上昇と下落(インフレとデフレ)において重要であるという点であり、さまざまな歴史的実例をあげて、その点を論証する。

ところで、学生時代に習った「フィリップス曲線」は長期的には成立しないとか(p.153)、16-17世紀の価格革命では、やはり新大陸からの金銀の流入も無視できない(p.201-202)とか、新しい研究動向が面白かった。経済学の基礎をもう一度、きちんと学習しなければという気になる。