福澤諭吉―文明の政治には六つの要訣あり

慶應義塾の卒業生であるから、『福翁自伝』は何度もくりかえし読んでいる。その自伝には奇妙な空白期間があるという。その謎などを切り口に、真実の福澤諭吉を追いかけた労作である。

出版時にアメリカにいたため、すぐに読むことができなかったが、最近、ようやく時間が取れたので手にした。読み始めると止まらないほど面白い本である。いつもながら、平山氏の説得力ある議論、そして、確証のないことは仮説として止めておく慎重な態度には敬服せずにはいられない。