山県有朋―愚直な権力者の生涯

愚直な権力者の生涯 山県有朋 (文春新書)

愚直な権力者の生涯 山県有朋 (文春新書)

新書であるが大冊の本だけに、時間をかけて少しずつ読んだ。山県有朋という名前は知っていても、長州出身、陸軍の大物という以外、あまり詳しいことは知らなかった。本書は、従来の山県に関する書物が、死後に刊行された公式の伝記に依拠したため成功談に偏っていたことを指摘し、多くの一次資料からその実像を描いた。

それにしても、山県は長生きをした人物である。幕末志士の多くが若くして倒れるなか、激動の明治・大正を生きのびた(大正11年没)。本書は、山県という一人の権力者を通してみた、近代日本史としても読むことができるだろう。