大名行列の秘密
- 作者: 安藤優一郎
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2010/03/06
- メディア: 新書
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参勤交代によって全国各地の大名が、江戸と国元を往復した旅が「大名行列」であり、宿場には本陣が設置されていたというあたりは誰でも知っている話だろう。しかし、本書を読むと江戸では月に何度も将軍拝謁のためミニ「大名行列」が行われ大混雑がおきたとか、行列がすれ違う際には独特の作法があったとか、江戸社会のユニークな一面がいろいろと明らかにされる。
莫大な費用をかけてまで大名行列が続くのは、「家格」というものがきわめて重視された武家社会のあり方を象徴したものだった。その家格をもっとも明確に視覚化するものこそ、大名行列だったのであり、そのためには「見せる」ための演出が重視されたというわけである。
幕末、諸大名に対して海岸防備を命じた幕府は、その代わりとして参勤交代の制を緩めた。著者は、このことを幕府の権威低下要因として重視する。