鬼平の給与明細

鬼平の給与明細 (ベスト新書 276)

鬼平の給与明細 (ベスト新書 276)

江戸時代の武士を純粋に「経済」の観点からまとめた一書。

武士といえば、借財・困窮といったイメージがある。一方で、最近の研究は、意外と役得が多く、収入が少なかったわけではないという事実が明らかにされてきた。本書は、そのあたりの実情を一級史料を用いて具体的に述べる。

それでも多くの武士が借金を抱えていたのは、武士の権威を用いた借り入れが可能だったという側面が強かった。勝小吉といえば、御家人で海舟の父親だが、旗本の用人になって知行地に乗り込み、無理やり御用金を取り立てる話などは「武士」の実像について大いに考えさせられるエピソードだろう。