格安エアラインで世界一周 (新潮文庫)

格安エアラインで世界一周 (新潮文庫)

格安エアラインで世界一周 (新潮文庫)

1985年、初めてアメリカに留学した年のことだが、学生の間で1つの航空会社が話題になっていた。People Expressという会社だったが、地元の空港への初就航を記念して、確か、ニューヨーク片道19ドルで飛ばしていたように思う。用事がなくても、安いから行くかということで、学生の間で話題になった。

その後、既存の航空会社の料金が競争の結果、劇的に下がり、People Expressもコンチネンタル航空に吸収された。やがて、ハブ空港を拠点に全米にネットワークを持つ大手航空会社がマイレージプログラムを武器にして業績を伸ばす時代がやってきた。

本書によれば、近年、世界の空はふたたび格安航空会社(LCC)の時代が訪れているらしい。ヨーロッパから始まったこの動きは、アジアに広がり、ようやく日本にも到達しつつある(ただし、太平洋路線にはまだない)。そこで、日本を出発してアメリカ西海岸までをLCCだけを使って、(ほぼ)一周というのが本書のテーマ。

LCCという定点を設定し、同時に世界を見渡す観察として読むと、非常に面白い。機内サービスや座席の間隔などが、効果的な目印になっている。

ついでながら、最後に出てくるJetBlue Airwaysという会社は、ごく最近、乗客の行為に立腹した乗務員が緊急脱出スライドを操作して帰宅してしまい話題になった会社だ。