M・Kシャルマ『喪失の国、日本』

インド・エリートビジネスマンの「日本体験記」 喪失の国、日本 (文春文庫)

インド・エリートビジネスマンの「日本体験記」 喪失の国、日本 (文春文庫)

帰省中に読んだ3冊目の本。なんとも不思議であり、かつ、最近読んだ本の中でも飛びぬけて面白い本だった。筆者は90年代初頭に日本に滞在したインド人ビジネスマン。2年たらずの滞在記を書いたヒンディー語の本が偶然、訳者の目に留まり、また、それこそ偶然に訳者と知り合って日本語訳が出版されることになるという奇跡のような物語……

もっともあまりの出来すぎた内容に、完全な創作ではないかという意見もあるようだ(実際、読むとそのような気にもなる)。肩のこらない読み物として、楽しむべきものなのだろうが、そうであっても、考えさせられる点をいくつも含んでいると思った。