就職とは何か――〈まともな働き方〉の条件

就職とは何か――〈まともな働き方〉の条件 (岩波新書)

就職とは何か――〈まともな働き方〉の条件 (岩波新書)

大学生の就活が昨日(公式に)スタートしたが、そのまさに大学生の就職をテーマとした新刊書である。また同時に、同じ著者の話題となった『働きすぎの時代 』(岩波新書 新赤版 (963))の続編という性格もある。

通常の就職(就活)本と一味違うのは、単に入社することだけをめざすのではなく、その後、いかに働くのか、また日本企業で働くことにどのような「問題点」があるのかというところまで扱ったところだろう。学生であっても内定後は、すでに労働者として法的に位置づけられるという考え方を紹介している点も参考になった。さらに、具体例として関西大学、特に経済学部生の事例が多数あげられていて、現実に即した内容になっている。

本書は労働に関する様々な統計が掲載されているが、116ページの図4−1は考えさせられる表であった。1993年以来の年間労働時間があげられており、全労働者では減少傾向が見られるが、それはパートタイムが増えた結果であり、一般労働者では、若干の変動はあるものの、ほぼ横ばいである。したがって、時短はまったく実現されていないことが明瞭に示されている。