北野天神の梅苑

中学、高校で一緒だった旧友から出張で京都に寄るとの連絡があり、本当に久しぶりに顔を合わせた。北野天満宮の梅苑を見たいとのことだったので、近くにある「とうふの藤野」のカフェで待ち合わせ朝食。それから梅を見に行った。藤野のカフェは毎日9時から11時まで朝食(和洋)があり、京都らしいブランチには最適で、喜んでもらえた。

友人も同じ大学教員(医学系)なのだが、教科書作りや入学前指導といった話題で盛り上がった。理系の場合、基礎がないと本当に何も分からないのため、真剣にこの問題に取り組んでいる。ちょうど教科書作りをやっていることもあり、学ぶ点が多かった。こういった話題で、文系・理系を超えた情報交換の場があってもいいというところまで話が進んだ。夏には国際会議でまた京都へ来るとのことで再会を約束する。

近世後期の領主支配と地域社会―「百姓成立」と中間層

近世史研究において、「地域社会論」とよばれる分野がある。1980年代あたりから研究がさかんになり、90年代以降、多くの成果が公刊されてきた。一般に、近世の支配関係としては藩(幕府代官)―名主(庄屋)という関係が基本とされているが、その中間に大庄屋などによって組織された「組合」などの支配機構が置かれることがある。地域社会論においては、そういった中間組織のあり方を主たる対象としながら、さまざまな角度から分析が行われてきた。かつて、この分野の研究のひとつについて書評を書いたことがあり(→http://www.iwata-shoin.co.jp/shohyo/sho60.htm)、いろいろと勉強させていただいたことを思い出す。

山崎氏はこの研究に携わるもっとも若い世代の研究者であり、博士論文としてまとめられたのが本書である。

対象とされた地域は大和・和泉・播磨の清水家領地であり、とりわけ「取締役」を務めた三枝家の膨大な史料の分析はすぐれて実証的であって、学界への貢献が極めて大きいことは間違いない。

ところで、御三卿を務めた清水家の分析という点もユニークである。幕府は御三家のほか、清水・田安・一橋の御三卿があったことは広く知られているが、その支配形態がどうなっていたのか、本書を読んではじめて明確なイメージを持つことができた。