ラストサムライを家族で見る

珍しく家族揃ってででかけ、「ラストサムライ」を見る。宮城が中国風だったり、まるで戦国武士のような軍団が登場したり、細かい点では妙な点が多いが、これはハリウッド映画なのである。素直に楽しめた。

しかし、長男の感想は、今ひとつ内容が良くわからないという。武元が西郷隆盛でモチーフが西南戦争であることは知っているようだが、なぜ西南戦争が起きたのか。この点を説明するのは難しい。維新期の士族の反乱がなぜ起こり、そしてなぜ失敗したのか。実は現在翻訳中の『「名君」の蹉跌』の最終章のテーマでもある。

ところで、この翻訳書の原作者M.ラヴィナ(エモリー大学准教授)は、昨年末に続編となる西郷隆盛の伝記『The Last Samurai』を刊行した。その直後から、インタビューの申し込みが殺到しているようだ(→エモリー大学の学内新聞参照)。この本は学術書で映画とは直接の関係はなく、ほぼ同時に公開されたというのはまったくの偶然なのだが、知らない人はきっと何か関係があると思うだろう。

驚いたことに、中国語でラストサムライ(『最期武士』)を紹介したサイトでは、ラヴィナが映画の原作者にされている。本の売れ行きも9000部を超えてアマゾンでは初刷が売り切れたそうだ。