野口武彦『長州戦争』

長州戦争―幕府瓦解への岐路 (中公新書)

長州戦争―幕府瓦解への岐路 (中公新書)

長州戦争(征伐)のことを山口では「四境戦争」というそうである。幕府と長州の戦争は長州領への四つの入口で行われたからである。その戦闘過程を幕府、長州双方の史料を着き合わせながら叙述した本書は、幕末史の流れを知る上でも最良の参考書ということができるだろう。

長州が本気になった一因が一般庶民を殺戮に巻き込んだ大島口の戦闘への恨みだったこと、長州戦争の結果として幕府の軍制改革が一挙に進められようとしたプロセスなどは、非常に参考になる話であった。