江と徳川三代

江と徳川三代 (アスキー新書)

江と徳川三代 (アスキー新書)

先日、来年の大河ドラマ「江〜姫たちの戦国」の撮影が始まっているというニュースを見たが、ドラマの予習にぴったりの本を安藤先生からご恵送いただき、一挙に読み終えた。

主人公の江(ごう)は、浅井長政の三姉妹の末娘、徳川秀忠正室であるが、これまでドラマなどではあまり取り上げられることはなかった。どちらかといえば、秀吉に嫁いだ長女の茶々(淀君)、あるいは家光の乳母、春日局の陰に隠れた存在だった。

一方、本書に描かれた時代は、戦国から徳川の世へと移る大河ドラマでもおなじみの時代であり、歴史的事実そのものも、よく知られた話ばかりである。一見、地味な物語と思われがちだろう。

しかし、生涯で三度の結婚をし、三代将軍家光の生母となった江の一生という側面から見ると、また違った見方ができるから面白い。本書は江をはじめ、この時代のもう一つの主役だった女性たちの立場から見た織田、豊臣、徳川の「新しい」歴史を描きだす。

ともすれば、戦国から徳川政権成立期にかけての女性は、戦乱に巻き込まれた悲劇の存在として描かれることが多い。しかし、安藤氏は、その見方は一面であり、むしろ、たくましく生きる存在としての女性像に注目する。

女性が主役の大河ドラマといえば「篤姫」を思い出すが、このドラマも予想以上の大ヒットとなあり、最近では、台湾でもブームになっているようだ。「江」は、第二の「お姫様」ブームを巻き起こすという予感がする。