日本の歴史を通して読む

アメリカに来て最初の3ヶ月間はできるだけ日本語の本を読まずに英語の本を読むことを心がけて、実際に3冊くらいの本を読んだが少し飽きてきた。今年になって、前々から一度してみたいと思っていたことを始めている。それは、日本の歴史に関するシリーズ本を通して読むことである。

モリー大学にもいくつか日本通史のシリーズがあるが、講談社の『日本の歴史』に決めた。全25巻だが近世以降はすでに読んでいるので弥生時代(02巻)から中世の終わり(14巻)までを通すつもりである(縄文時代は貸出中なのか見当たらなかった)。

現在、06巻の平安時代中期まできているが、このころは貴族の間で日記をつけることが始まった時期であった(9世紀末)。この時期、宮中では宮廷行事の整備がすすみ儀式の執行が厳格化されたという。そのため、「昨日の公事」を日記に記して先例を伝えるようにしたのが(つまり日記は翌日書く)、そもそも日記というものの始まりだという(p.94)。

過去の日記を参考にする際、どうやって検索するかということが問題になった。そこで、子孫が日記を抽出し私見をたした別記(部類記)を作ったり、はなはだしきは原本をばらして切り張りするようなこともあったらしい。

しかし、このように後世、役に立つということが古代貴族の日記を現代にまで残した理由であり(江戸時代にも盛んに利用されていた)、平安中期以降の第一級史料として今日利用できることは、なかなかすばらしいことである。